引越し事故実例-はじめに
引越しは新しい生活への第一歩。誰でも気持ち良く行いたいものです。しかし、人が手作業で運びトラックに積み込み走行し、再び手作業で運び入れるという、専門業者でも困難を伴う作業です。そのため、不測の事態が少なからず起きてしまうのが実情です。
最初にお断りしておきますが、本記述は引越し業者と対決することや、批判することを目的とはしていません。引越し業者はいずれもプロであり、契約者がご自分で行うことが困難な作業を、プライドを持って行っています。お客様の大切な家財を、壊したくて壊す作業員はいません。不測の事態がどのような理由でおき、そしてどのような解決をするのか、そしてどうしたら防げるのかを提案するものです。このことをご理解した上でお読み頂いて、少しでもお役にたてればと思っております。
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家財や家屋の破損、損傷、紛失事例と解決までの流れ
上記具体例で記述する事故処理の流れ、解決法は私が引越しセンターの事故処理係をしていた時の経験からであり、全ての引越し事故において、同等の結果になるということを保証するものではありません。業者が違ったり、個々の事例による状況によって、事故処理の方法は異なります。基本的には業者側の過失によって起きたものに対しては、規定の範囲内で補償賠償がなされますが、過失が認められなかったり、契約者に原因が起因する場合にはその限りではありません。基本的には「標準引越し運送約款」を基にした処理を行う事はいうまでもありません。
また、契約した保険の補償金額以内であるとともに、保険適用外の事故やトラブルに関しても免責となります。これらをしっかりと営業担当者などに説明を受け、引越し保険の約款を確認し、理解することが必要となります。
標準引越し運送約款とは
標準引越運送約款とは、1990年(平成2年)に旧運輸省(現国土交通省)から告知され、2001年(平成13年)に改正された、引越し会社と消費者(お客さん)との間のトラブルを未然に防ぐために作られた約款(ルール)です。 見積もり時に引越業者はこの「標準引越運送約款」を申込者に提示することとされています。
実際には「標準引越し運送約款」は見積書の裏に記載されているので、「後で見といて下さい。」と言うだけで、説明してくれないことが多く。お客さん側も面倒がったり、聞いてないこともありますが、後々のトラブルを防ぐためにも、しっかりと説明を受ける必要があります。一生のうちに数回しか行われない、大切な家財を運ぶ引越しなのですから、数十分の時間を省かないで下さい。
多くの引越会社はこの「標準引越運送約款」を取り入れていますが、一部の引越し会社は、その会社独自の「約款」を届け出て、認可されている場合もありますので、その場合は、その引越し業者の約款に従うことになりますので、いずれにしても見積書にはどのような内容が記載されているかを確認することも大切です。
賠償
引越会社のスタッフの責任による、荷物の破損・紛失、家屋を傷つけた場合は、引越し会社は損害賠償の責任を負い、速やかに賠償します。ただし、保管又は運送に関し注意を怠らなかったことを証明した場合は除きます。また、荷物の破損・紛失についての責任は、荷物を引き渡した日から3ヶ月以内に通知されなければ、損害賠償責任は請求できませんので、破損や紛失を見つけた場合は、早めに引越し会社に連絡しなければなりません。
また、以下に該当する時には、例え荷物が破損・紛失したとしても補償の対象外ということになります。
- 荷物の欠陥、自然消耗。
- 荷物の性質による発火、爆発、むれ、かび、腐敗、変色、さびその他これに類似する事由。
- ストライキや強盗による荷物の紛失、運送の遅れ。
- 不可抗力による火災。
- 予見できない異常な交通障害。
- 地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れ、その他の天災。
- 法令又は公権力の発動による運送の差止め、開封、没収、差押え又は第三者への引渡し。
- お客さんの故意又は過失。
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